AP&T は、乗用車用の構造的部品の部分ホットスタンピング向けに特許取得ソリューションを導入します。TemperBox® は、硬化および軟質ゾーンを1つの部品で組み合わせることできるため、革新的な本体デザインと費用対効果的な生産への道が拓けます。TemperBox® は AP&T の新規および既存の多段炉およびその他タイプの熱処理設備と統合できます。
世界各地の顧客向けに 100 基以上のホットスタンピングラインの設置を行ってきた AP&T は現在、そのホットスタンピングテクノロジーの開発で重要な一歩を踏み出そうとしています。同社のもっとも最新の製品イノベーション — TemperBox® — は、構造的部品を費用対効果よく設計および生産する上で、まったく新しい機会を提供します。
特許取得の発明 TemperBox® は、もともとアギム・アデマジ(Agim Ademaj)による開発を基礎としたものです。2013年、AP&T と GEDIA Automotive Group (ドイツ・アッテンドルン) との間の協力構想は、テクノロジーの開発および工業化に向けて始動したものですが、それが現在は、完全な商業ソリューションとなっています。
「特許取得のソリューションにより、資材特性のいくつかを1つの完成部品の中で組み合わせることができる。強度を上げるため一部分は硬化させ、他の部分は軟化させることで必要な延性を実現し、接合や機械的切断など、事後処理を促進することができる。」と、AP&T の CTO クリスチャン・コロシェッツ博士(Dr. Christian Koroschetz)は述べています。
プロセスには、TemperBox® と称される特殊炉で行われる、高精度制御熱処理が含まれます。従来型オーステナイト化炉、例えば AP&T の多段炉で最高930℃まで加熱された後、ブランクは TemperBox® に搬送され、そこで他の部分を加温したまま、選択した部分を放射線から遮断して冷却します。続いて、ブランクを成形して焼入れし、完成部品を生成します。
最終結果は、部品に必要な性能が出るようにカスタマイズされた、個別設定特性をもつ部品となります。これは、設計者および製造技師が高価な強化剤またはサイクルタイム集約プロセスを考えることなく、より自由に作業できることを意味しますが、ホットスタンピングツール中のそのような個別焼入れは、車体部品の衝突安全性を改良するためによく行われます。新しい方法には、新規および既存のホットスタンピングラインへの簡単統合など、今日のホットスタンピングと比較して、明確な生産に関する有利点があります。TemperBox® 生産ソリューションは、今日業界が断面部分に単一特性があるホットスタンピング部品の生成時に慣れ親しんでいるのと同じ短いサイクルタイムを可能にします。
「衝突性能設計で新しい可能性があるのみではなく、フランジ部など、部品の各部分を軟質にできるため、事後処理がさらに簡単になる。その結果、従来の方法でピアスや切削をすることができ、例えば、レーザー切断と比べると、必要な経費は格段に抑えられる。」
TemperBox® は AP&T の新規および既存の多段炉に設置でき、他のタイプの熱処理設備があるホットスタピングラインでも利用できます。
「これは、新しいテクノロジーを、ブランドには関係なく、市場にある、どのホットスタンピングラインでも、基本的に使用できることを意味する。」と、クリスチャン・コロシェッツ (Christian Koroschetz)は述べています。
ファクト
初の全機能 TemperBox® 生産ラインはドイツ・アッテンドルンの GEDIA Automotive Group に設置され、各種のヨーロッパ OEM 向けの個別設定特性を備えたホットスタンピング部品の生産に使用されます。生産開始は 2019年末を予定しています。GEDIA には、2017年以降、 TemperBox® のプロトタイプラインも搭載されています。
ヨーロッパでは、GEDIA および AP&T が連携して TemperBox® テクノロジーに取り組んでいます。AP&T は特許権の保有者であり、GEDIA はヨーロッパ市場の専用生産許諾権の保有者です。